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【業務プロセス可視化事例】世界銀行グループ様 2017-07-15T16:36:15+00:00

【導入事例】世界銀行グループ様

 
リソース、プロセス、情報、ITシステムなどの 技術資産および、それらの相互関係を 可視化・集積したビジネスプロセスリポジトリを構築。

 

業務効率化に向けて全社レベルの可視化プロジェクトを推進。サイロ化していた情報を一元管理する環境を構築。

世界銀行グループでは、iGrafxを活用して、「全社ビジネスプロセス可視化プロジェクト(以下、可視化プロジェクト)」に取り組んでいる。その経緯と成果について、世界銀行グループの李 章容(Jang Yong Lee)氏に話を伺った。

※1:iGrafx FlowCharterおよびiGrafx Process Centralの総称としてiGrafxと記載しております。
※2:現在、iGrafx Process Centralは、iGrafx Platformへ名称変更しております。
※3:本事例は米国におけるiGrafxの導入事例です。
※4:Microsoft®およびExcel®、Visio®、Powerpoint®は、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。

 

世界銀行グループ
ロゴ-世界銀行グループ

■本社所在地: アメリカ合衆国 ワシントンD.C.
■設立: 1944年
■職員数: 10,000人以上(全世界)
■概要:  5つの国際機関の総称として「世界銀行グループ」と称される。
・国際復興開発銀行(International Bank for Reconstruction and Development、IBRD)
・国際開発協会(International Development Association、IDA)
・国際金融公社(International Finance Corporation、IFC)
・多数国間投資保証機関(Multilateral Investment Guarantee Agency、MIGA)
・投資紛争解決国際センター(International Center for Settlement of Investment Disputes、ICSID)

もくじ
  1. 世界銀行グループの概要
  2. 全社的なビジネスプロセスの可視化プロジェクトにiGrafxを活用
  3. 各プロセスへの取り組みについて
  4. 組織や業務の全体像と影響範囲を把握することが課題
  5. 目指したのは立体的なビジネスプロセスの統合一元管理
  6. 組織的に業務パフォーマンスの向上に取り組む体制を実現
  7. iGrafxを導入した経緯
  8. 今後の拡張予定とサン・プラニング・システムズへの評価と期待

 

世界銀行グループの概要

– 世界銀行グループについてご紹介ください。

世界銀行は、各国の中央政府または中央政府から債務保証を受けた機関に対して融資を行う国際金融機関です。世界中の発展途上国への資金・技術援助の供給源として、貧困削減と開発支援に取り組んでいます。加盟国は184か国、世界に120か所以上のオフィスを設けており、本部はアメリカ合衆国ワシントンD.C.です。加盟国によって運営される5つの国際機関の総称として、世界銀行グループと呼ばれています。

 

全社的なビジネスプロセスの可視化プロジェクトにiGrafxを活用

「現時点で、iGrafxを使って、 約2,800のビジネスプロセス図を作成 しました」 (世界銀行グループ Senior IT Officer, EA Strategic Planning & Governance 李 章容氏)

「現時点でiGrafxを使って約2,800のビジネスプロセス図を作成しました」
(世界銀行グループ
Senior IT Officer,
EA Strategic Planning &
Governance 李 章容氏)

– 世界銀行では、iGrafxをどのように活用しているのでしょうか。

「可視化プロジェクト」にiGrafxを利用しています。現状、国際金融公社(IFC)におけるビジネスプロセスについては、既に可視化作業を終え、約800のプロセス図をメンテナンスをしながら活用しています。

さらに、世界銀行グループとしても作業を進めている段階で、まだ本格的な活用の段階までいたっていませんが、現時点で約2,000のプロセス図を作成し、可視化済みです。

 

– 可視化プロジェクトについて教えてください。

可視化プロジェクトとは、組織のリソース、プロセス、情報、ITシステムなどの技術資産および、それらの相互関係を可視化・集積した「ビジネスプロセスリポジトリ(保管庫)」を、開発・共有・維持管理するプロジェクトです。

これまで部署ごと、業務ごと、ITシステムごとにサイロ化していたビジネスプロセスを一元管理する環境を構築することで、ビジネスプロセス管理をはじめ、リスク管理やITシステム実装などの効率化を図ることを目的としています。

実際の可視化プロジェクトは、次の5つのプロセスによって実現されます。

  • ①ビジネス・アーキテクチャーの開発
  • ②ビジネスプロセスの可視化と標準化
  • ③全社レベルのビジネスプロセスマッピング
  • ④ビジネスプロセスリポジトリの開発
  • ⑤ユーザーポータルの開発

 

各プロセスへの取り組みについて

– 各プロセスの詳細を教えてください。まずは、「①ビジネス・アーキテクチャーの開発」からお願いします。

ビジネスプロセスに関わる人的リソース、タスク、情報、ビジネス資源、場所などのプロセスメタデータの把握および分析をします。ビジネス・ドメイン(事業ドメイン)とビジネス・ケイパビリティー(業務機能)、ビジネスプロセス、プロセスメタデータの関係性を明確にします。

ビジネス・アーキテクチャーの開発イメージ

ビジネス・アーキテクチャーの開発イメージ

ビジネス・アーキテクチャーの開発は、iGrafxなどのツールは使用しませんが、ビジネス・ドメインやビジネス・ケイパビリティーの定義、ビジネスプロセスの可視化、ビジネスプロセスマッピングといった作業のフレームワークとなります。

 

– 「②ビジネスプロセスの可視化と標準化」についてお願いします。

ビジネスプロセスの標準テンプレートを作成し、各部署の既存のプロセス文書を標準化します。これまでバラバラのアプリケーション(Microsoft® Excel®、Visio®、PowerPoint®など)や書式で記載されていたビジネスプロセスを、現場へのヒアリングなどを実施しながら、iGrafxのプロセスモデルに書き換えていきます。

iGrafxへの書き換えイメージ

iGrafxへの書き換えイメージ

 

– 「③全社レベルのビジネスプロセスマッピング」についてお願いします。

ビジネスプロセス間の水平的関連性および、ビジネス・ドメイン、ビジネス・ケイパビリティー、ビジネスプロセス、プロセスメタデータ間の垂直的関連性をマッピング(定義)します。プロセスメタデータを含むビジネスプロセスを統合的に一元管理できるようにします。

ビジネスプロセスマッピングのイメージ

ビジネスプロセスマッピングのイメージ

 

– 「④ビジネスプロセスリポジトリの開発」についてお願いします。

ビジネスプロセスモデルや業務定義、マッピング情報などの成果物を管理するためのリポジトリを構築して、ビジネスプロセスの設計・保守・バージョン管理・公開作業を簡素化します。

ビジネスプロセスリポジトリのイメージ

ビジネスプロセスリポジトリのイメージ

 

– 「⑤ユーザーポータルの開発」についてお願いします。

iGrafxの公開機能を利用して、社内メンバーであれば誰でも閲覧可能なユーザーポータルをイントラネット上に構築しています。ステークホルダー、テクノロジー、プロセスをサポートするITシステムなどの情報資産との関連性も可視化します。

iGrafx によるユーザーポータルのイメージ

iGrafx によるユーザーポータルのイメージ

 

組織や業務の全体像と影響範囲を把握することが課題

– 可視化プロジェクトに取り組んだ経緯について教えてください。

プロジェクトへの取り組みは経営層の判断によるものですが、その背景には「業務の全体像を把握できない」、「業務や人、ITを変更した際の影響範囲を把握できない」といった課題を解消する目的がありました。

【課題1】業務の全体像を把握できない

これまでは技術的なアーキテクチャー、言うなればITが中心となって、ビジネスプロセスや必要なシステムの企画・構築をしてきました。一見、このような対応は当たり前のように見えるかもしれませんが、ほとんどのシステムは部分最適のために導入・利用されるため、業務および関連データの影響分析も局所的な対応になっていました。

すなわち、システム単位や部署単位でビジネスプロセスが定義され、システムごとに記述方式も統一されていないため、システム分析とビジネスプロセス分析のサイロ化が進み、全社的な業務の分析や最適化を図るにあたり大きな障壁となっていました。

【課題2】業務や人、ITを変更した際の影響範囲を把握できない

経営層には、全社的なパフォーマンスを向上させるために、また、リスクを最小限に抑えるために、どのシステムにどれだけ投資をするべきなのかを判断する材料が必要です。しかし、部分最適化が進み、全体を俯瞰して見ることができないので、各部署やIT部門から上がってくるバラバラの情報を基に判断を下さなければなりませんでした。

例を挙げると、たとえば自社のサーバーがサイバー攻撃を受けたとき、その影響を直接的に被るサーバーやシステムを把握するのは容易で、対策を講じることも可能です。一方、間接的に影響を受けるシステムや業務、部署、担当者は、複数の業務や部署にまたがっているため、それを漏れなく把握することは容易ではありませんでした。

影響の範囲やリソースが把握できなければ、どのビジネスプロセスに、どのように、どれだけの対策やコストを投じればいいのか、全社的に判断することや対策の方針を示すことはできません。そのため、いざインシデントが発生したときに、思いもよらぬところでトラブルが拡大し、大きな損害を生み出してしまうことにもつながりかねません。

また、ある業務のパフォーマンスを向上させるためにシステムを導入する場合、その業務に関わるシステムやリソースを正確かつ全社的に把握していなければ、「新しく導入するシステムの要件や機能」をはじめ、「本当のボトルネックがどこにあるのか」、「改善すべき、投資するべきポイントはどこなのか」を判断することはできません。

その結果、新しいシステムが動き出した後に、思っていたような成果を上げられなかったり、これまで見当も付かなかった新たなボトルネックが表面化して、その対応に振り回されたりすることになり、全体最適を図ることができませんでした。

 

目指したのは立体的なビジネスプロセスの統合一元管理

– 可視化プロジェクトでは、これらの課題をどのように解消しようとしたのでしょうか。

「業務の可視化」というと、単に業務手順を示したものや平面的な業務フロー図を思い浮かべるかもしれません。しかし、私たちが目指したのは業務間の水平的な関連性だけでなく、ビジネス・ドメイン、ビジネス・ケイパビリティー、ビジネスプロセス、プロセスメタデータといった各種リソースを垂直に関連付け、全社レベルでのビジネスプロセスを立体的に統合一元管理する環境です。それを実現することができれば、インシデントやパフォーマンス改善のためのシステム導入において、どの業務に、どの部署に、どの担当者に影響を及ぼすかを可視化して把握することができるようになります。

そのため、次のような目的を持って、可視化プロジェクトを立ち上げました。

  • 組織のリソース、プロセス、情報、技術資産とそれらの相互関係についてのコミュニケーションを可能にするメカニズムを実装すること。
  • ビジネスプロセスの統合一元管理と業務の透明化によって、オペレーショナルリスク分析と効率的な管理を実現すること。
  • ビジネスプロセス管理(BPM)の取り組みやITシステムの実装の効率化を可能にする知識ベースを開発すること。
  • その成果物を継続的に維持・管理するための組織と方法を推進すること。

 

組織的に業務パフォーマンスの向上に取り組む体制を実現

– 可視化プロジェクトによって、どのような成果が上がっていますか。

ビジネスプロセスが共通の規約かつ共通のインターフェースで、可視化・標準化されたことにより、組織的に業務のパフォーマンス向上やリスク管理に取り組む体制が整いました。その結果、次のような成果が上がっています。

【成果1】全社的な業務リスクおよび影響分析

事業、組織、システム変更などに対して、業務リスク分析や影響分析が、迅速に全社レベルで可能になりました。組織に新しく配属された人員に対する業務や、システム情報の提供も容易になりました。

【成果2】業務の所管や責任範囲の明確化

業務のスタートとエンド、そして業務間の関係性が明確になったことで、業務の所管や責任範囲も明確になり、業務改善やリスク管理にあたって、どこの、誰に、どのような施策を実行してもらえば良いのかが容易に把握できるようになりました。

【成果3】現場の意識改革

自分たちの業務に必要な、他部署からのインプットやアウトプットが、他のビジネスプロセスでどのように取り扱われているのかを理解できるようになったことで、業務へ取り組む姿勢にも良い変化が見られるようになりました。

【成果4】影響度の把握

業務の変更やインパクトに対する影響度の把握が容易になりました。リスク対策や業務改善ポイントの把握・分析が精緻になり、優先順位を判断し、各部門の担当者へ影響度を伝えやすくなりました。

【成果5】リソースの再利用

似たようなプロセスを検索して再利用することができるようになりました。また、再利用する際に強化した点を既存の業務にフィードバックすることで、全体の底上げを図ることにもつながっています。

【成果6】意志決定のトレーサビリティー

システムをアップグレード・リプレースする際に、優先度の高い業務機能を洗い出したり、現状と要件のフィット&ギャップ分析も容易にできるようになりました、また、影響を受けるビジネスプロセス、アプリケーション、インフラの変更をトレースできるようになり、投資すべきコストの裏付けや導入後の効果測定など、業務とIT間の効率的なコミュニケーションが可能になりました。

【成果7】リスク管理のための情報基盤の確立

BCP(事業継続計画)やDR(災害対策、ディザスタリカバリ)、内部監査に対する情報基盤を確立することができました。

【成果8】ドキュメントの統一化

間接的な効果になるかもしれませんが、業務フローの標準ツールとして共通化できたことで、各システムの導入プロジェクトや業務改善プロジェクトでコンサルティング会社やシステム開発会社が異なっても、同じツール、同じルールで業務フローを描くことができるようになりました。

【成果9】コスト削減

やはり、これも間接的な効果になるかもしれませんが、高価な製品をカットして、ライセンスコストが低い製品に切り替えたので、システム面でのコスト削減にもつながりました。

 

iGrafxを導入した経緯

– iGrafxを導入した経緯を教えてください。

従来の表計算ソフトやグラフィックソフトを用いた手作業では、掲げた目的をクリアすることは難しいとわかっていましたので、プロジェクトをスタートする時点でツールの導入・活用は必須だと考えていました。

当初は、社内に既にライセンスを保有している別の製品もあり、エンタープライズアーキテクチャーリポジトリを構築する比較的規模の大きなツールを中心に検討を開始しました。しかし、ライセンスコストが割高で、機能や操作方法も複雑なために、導入を断念せざるを得ませんでした。

そこで、小さな規模でも導入・利用できるツールを検討したのですが、それでも、導入してから成果が現れるまでに膨大な手間と時間がかかるので、ツールの選定は難航しました。

そのようなときに、あるツールベンダーから紹介されたのがiGrafxでした。iGrafxであれば、次のようなポイントで、可視化プロジェクトに合うのではないかと考え、導入を決めました。

  • 最初にリポジトリありきではなく、業務フローの可視化や標準化からスモールスタートが可能。
  • 短期間で成果物を積み上げながら、リポジトリを組み上げることができる。
  • 継続的に維持・管理がしやすい。
  • 社内でデータを共有する仕組みが備わっている。
  • 導入コストの負担も比較的軽いことから、パイロット的な導入も可能。

 

今後の拡張予定とiGrafxへの評価

– iGrafxへの評価をお聞かせください。

iGrafxは使い勝手に優れ、ITリテラシーや業務知識がなくても簡単に業務フローを書くことができます。業務間の関係性や各タスクへのプロセスメタデータのマッピングも同様です。

さらには、フロー図やマッピングの修正が容易な点も高く評価しています。実際の作業では、業務フローの資料を基に書き起こしたり、ヒアリングをして書き起こしたものを現場の担当者にチェックしてもらい、修正を繰り返して完成させます。その際に、表計算ソフトや描画ツールだと修正が面倒で、作業者にも負担がかかり、現場側も対応時間が長くなることで負担になってしまいます。

iGrafxであれば、修正ポイントを聞いてすぐに作業をし、またすぐにチェックしてもらうことができるので、作業者にも現場側にも負担をかけずに、短期間で業務フローやマッピングを完成させることができたため、最小限の人員でビジネスプロセスの統合一元管理と、成果物の継続的な維持・管理ができるようになりました。

また、iGrafxによって、工数をかけることなく、簡単、迅速に成果物を共有できることも導入して良かったと思う点です。

閲覧の際も、ビジネス・ドメインから順番にディレクトリ構造を確認しながら、業務フローやプロセスメタデータへと深掘りしていくこともできますし、キーワードで検索をして目的の業務フローを探し出すこともできるのでとても便利です。

また、ビジネスプロセス間をまたがって見ていると、業務フローの迷路にはまってしまうこともあるのですが、ツリー構造を見れば、どのビジネス・ドメインや、どの機能に関する業務フローなのか、どこからリンクしてきた業務フローなのかを簡単に確認できます。

 

– 今後の拡張予定などがあれば教えてください。

現時点で完成しているのは国際金融公社の業務だけですので、世界銀行グループ全体の主要業務を完成させることが次の目標です。

また、可視化プロジェクトはあくまでもビジネスプロセスを可視化した段階に過ぎませんので、企業戦略とIT戦略を科学的なアプローチで最適化していくためには、やはりエンタープライズアーキテクチャーツールの導入が必要だと思います。現在、可視化プロジェクトによるビジネスプロセスリポジトリと連携した形で、エンタープライズアーキテクチャーツールの導入も進めています。

 

– では最後に、業務可視化に興味を持っている企業に対して、アドバイスなどがあればお聞かせください。

私自身も経験がありますが、日本の企業は最初から完璧を目指して詳しい情報やメタデータを定義しようとする傾向があると思います。しかし、最初から詳しく記載しようとすると、手間も時間もかかり、成果も見えてこないので、プロジェクトへの関心も薄くなり、最悪の場合は頓挫してしまうこともあるかもしれません。

そのため、最初は「タスク」、「人」、「ITシステム」、「インプットとアウトプット」という4つぐらいの情報に絞って可視化をするのが良いと思います。私たちもこの4つに関する記載ルールとヒアリング方法を決めて可視化プロジェクトを開始しました。

完璧でなくても、まずは経営者、現場、プロジェクトメンバーに成果を見せることが大切です。シンプルですが、全体が見えてくると、自然とより詳しい情報を入れたくなるので、情報が増えていきます。その良い流れを作ることが業務の可視化を成功させる近道になると思います。

サン・プラニング・システムズ BPM推進部 部長 青木 伸夫(写真左)

株式会社サン・プラニング・システムズ BPM推進部 部長 青木 伸夫(写真左)

* 取材日時 2016年11月
* 世界銀行のサイト
* 記載の担当部署は、取材時の組織名です。